CircuitJS1を使ってなるべく分かりやすく簡潔にCPUの仕組みをゆっくり説明する (6/9)

NOT回路

ここからは出来上がった回路を組み合わせて(繋げて)いけるようにすることを考えます。

図1-10の左側の回路は、前回のプルダウン抵抗を付けた回路から、LEDを取り除いたものです。 その代わり、そこから出力(出口)用のoutという線を用意しました。 スイッチを切っているときはoutはHigh(1)、スイッチを入れているときoutはLow(0)になります。 入力(入口)はトランジスタのベースの部分です。ここが5V(High)のときコレクタ・エミッタ間に電流が流れ、0V(Low)のときは流れません。 この回路全体の機能としては、入力がHighのとき出力がLow、入力がLowのとき出力がHighとなります。 このように入力と出力が逆転する回路をNOT回路(インバータ回路)といいます。 例えば、同じ回路をもう一個用意して、片方のoutをもう片方のベース(正確には100kΩの手前)に接続すれば、 入力Highのとき出力High、入力Lowのとき出力Lowの回路を作ることができます。

なお、outがHighのときLEDを点灯させたいとするならば、右側のような回路を作ることになるでしょう。 NPN型のトランジスタを一個追加し、それをスイッチとしてNOT回路の出力がHighのとき、上から下に電流が流れるようにしています。

図1-10

図1-11まん中の2つは図1-10の回路のNPNトランジスタを、そのままN型MOSFETに置き換えたものです。同じように機能します。 違いは以前にも書きましたが、通常のトランジスタ(バイポーラ・トランジスタ)はベース・エミッタ間に電流を流す必要がありましたが、 MOSFETの場合は電流を流す必要がありません。ゲート・ソース間の電位差でスイッチングすることができます。 バイポーラ・トランジスタのベース・コレクタ・エミッタの代わりにMOSFETでは、ゲート・ドレイン・ソースとなります。 N型MOSFETでは、ゲート・ソース間に電圧を加えると、ドレイン・ソース間に電流が流れます。 NPNトランジスタに性質が逆のPNPトランジスタがあったように、N型MOSFETにも性質が逆のP型MOSFETが存在します。 一番左の回路はゲート手前のスイッチを取り除き、入力の導線だけにしました。こうすると回路図がかなりシンプルになります。 入力のL(Low)をクリックするとH(High)にトグルすることができます。HにするとoutはLow、LにするとoutはHighになりますね。 一番右側の回路は3番目の回路のN型MOSFETをP型MOSFETに取り換えて(トランジスタも取り換えて)、上下を逆転させた回路です。 N型の回路では出力がHighのとき電流が流れLEDが点灯するようになっていて、P型の回路では出力がLowのとき電流が流れLEDが点灯できるようになっています。 N型回路では、トランジスタが電流をマイナス側に引き込めないので、これだけの回路では、出力がLowのときにLEDを点灯させることができません。 同様にP型回路では出力がHighのときにLEDを点灯させることができません。

図1-11

そして図1-12図1-11のNOT回路の改良版です。N型MOSFETとP型MOSFETのNOT回路を混ぜ合わせたハイブリッド回路になっています。 この逆性質同士(N型P型)をハイブリッドさせた回路をコンプリメンタリ回路(相補回路)といいます。電圧・電流特性が正反対で対等のトランジスタを使えば、 High側から見てもLow側から見ても電気的性質が同じ回路になります。図1-11のN型、P型のNOT回路では、High側でLEDを点灯させるか、Low側でLEDを点灯させるかしかできませんでしたが、こちらの回路だと両方できます。やってみてください! このように、コンプリメンタリ回路は(トランジスタは2倍必要ですが)、出力から電流を押すことも引くこともでき±対照的な性質を持つという利点があります。 更にもう一つ利点があり、図1-12の入力をHやLに切り替えてみてください。出力は正しく切り替わりますが、なんとどちらの状態でも電流は(ほとんど)流れていません。 今後これらの回路を多数組み合わせることを考えると、とても省電力になる気がします。 集積回路などで見聞きするCMOSはこのComplementary MOSの略ということになります。
図1-12
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